徳洲会グループ
工夫凝らし潜在患者さん抽出
徳洲会グループは2019年に「C型肝炎ウイルス(HCV)サーベイランス(調査)プロジェクト」を立ち上げ、潜在的なC型肝炎患者さんのフォローに取り組んでいる。C型肝炎は慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんなど、さまざまな疾患のリスクになることが指摘されているが、自覚症状がないため、感染しても気付きにくい。プロジェクト発足から2年が経過するなか、今年3月に開いた「肝炎コーディネーター研修会」では、各地のグループ病院が活動内容や成果を報告した。同研修会で発表した病院を中心にグループの取り組みを紹介する。
C型肝炎は、HCVの感染によって引き起こされる肝臓の病気。B型肝炎同様、慢性化しやすく、発症すると全身の倦怠感や黄だん、食欲低下、腹痛などをともない、さらに進行すると肝硬変、肝臓がんに至るケースも少なくない。ただし、インターフェロン(免疫系や炎症の調節などに作用する薬)や経口の抗ウイルス剤による治療で、現在は“ほぼ完治”が見込める疾患となっている。
感染者数は減少傾向にあるが、感染しても多くは無症状のため、HCV感染に気付かない、もしくはHCV抗体陽性にもかかわらず治療を受けていない感染者が散見され、国内には推定100万人以上の患者さんがいるとも指摘されている。2014年には、ウイルス性肝炎に感染しながらも、継続した治療を行っていない人が少なくとも53万人いるという厚生労働省の推計値を一部のメディアが報じ、注目を集めた。湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の岩渕省吾・肝胆膵・消化器病センター長は「現在、各医療機関では入院時をはじめ健診、内視鏡や循環器(カテーテル検査)、外科的診療、救急診療、透析など多くの診療科で、さまざまな機会にHCV抗体を測定しています。ところが、HCV抗体陽性にもかかわらず、HCV感染をチェックしていないケースが多々あります」と指摘する。
こうした背景から徳洲会グループは、19年にHCVサーベイランスプロジェクトを発足。岩渕センター長をプロジェクトリーダーに、まず湘南藤沢病院をパイロット(試験)施設として開始した。
岩渕センター長は「HCV抗体は過去の一過性感染や抗ウイルス治療で治った方でも、一生、低い値で陽性を示すため、現在の感染かどうかを判断するにはHCV-RNAの有無を確認する必要があります」としながらも、できるだけ効率良く、かつ限りなく感染者の漏れを少なくするため、HCV抗体陽性例の抗体価と血中のHCV-RNAの関連を調査。HCV抗体陽性例のうち抗体価が7.0以上のケースでHCV-RNAを測定することとした。
あわせて患者さんにHCV-RNAの受検を促す文書の作成、病院全体で取り組むため院内に周知するとともに、中心的な役割を果たす肝炎コーディネーターを配置した。徳洲会インフォメーションシステム(TIS)とも連携し、BI(病院運営管理)ツールや病院の電子カルテから関連するデータや対象患者さんを抽出しやすくした。
こうした体制により、19年3月から21年10月までにHCV-RNA測定を43例に実施、そのうち高い値を15例(35%)が示した。5例は自院で治療し、10例は他院に紹介などした。
→徳洲新聞1345号掲載

