徳洲会グループ

生活物資や医薬品などを長期的に支援へ NPO法人TMAT

NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、多数のウクライナ人が避難しているウクライナ隣国のモルドバ共和国に5月9~14日にかけて調査隊を派遣した。これに先立ち現地NGO2団体と協力関係を築き、モルドバに逃れてきたウクライナ難民への物資支援や、ウクライナ国内の医療機関への医薬品提供など支援活動を4月から実行。今回の派遣では現地NGO関係者と長期的な支援活動に向け協議を行い、支援先や医療機関、南東部の国境エリアの視察、医療支援ニーズの調査を実施した。

モルドバ入りしたのは、TMAT理事を務める湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の河内順・副院長兼主任外科部長、武蔵野徳洲会病院(東京都)の原田生代美看護師(ロシア語通訳兼)、TMAT事務局員でロジスティクス統括の野口幸洋・一般社団法人徳洲会医療安全・質管理部課長補佐の3人。

調査隊の隊長を務めた河内副院長は帰国後、「災害医療チームであるTMATは、2018年にバングラデシュで、ミャンマーの少数派イスラム教徒であるロヒンギャ難民に対する医療支援を行ったこともあります。軍事侵攻という特殊災害によってウクライナから全体で数百万人が避難するなか、苦しんでいる方々のため力になれることをするのは自然災害に限らずTMATの理念に沿った活動です」と強調する。

今回の調査の結果、「ウクライナ難民のモルドバ国内での医療機関へのアクセスはスムーズであり(医療費は無料)、医療機関も通常の診療体制を維持」(野口・課長補佐)できていることから、仮設診療所の開設など直接的な医療支援のニーズは、現状では高くないことがわかった(ただし情勢によってはニーズが高まる可能性がある)。一方、モルドバにとどまるウクライナ難民には経済的弱者が多く含まれているため、生活物資の支援は長期的に取り組む必要性が高いことが判明した。

→徳洲新聞1339号掲載