救急・外科処置・訪問診療と多岐にわたり活動
NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、2月6日にトルコ南東部で発生した巨大地震により甚大な被害を受けた町、バーチェを中心に災害医療活動に尽力している。発災直後の翌7日からリレー形式で先遣隊、本隊の第1陣、第2陣を派遣、これまで合計22人の隊員が入国(23日時点)。とくに被害が大きかったバーチェ・リハビリ病院敷地内に建てられた仮設診療所テントを活動拠点に、現地の救急医療チームや地元の医療機関と連携しながら約600人を診療した(23日時点)。隣国のシリアを含め死者数が5万人を超えるなど、いまだ震災の全容が見えないなか、隊員たちは懸命に医療支援にあたっている。活動拠点を中心にリポートする。
訪問診療も積極的に行った。めまいや発熱があるものの、自力歩行ができない患者さんからの依頼を受け、急遽、町田医師と上國料・看護副主任が自宅を訪問。その場では処置が難しいと判断し、診療テントに搬送した。テント内でエコー検査や心電図測定などを実施した後、救急車で遠方の病院に搬送した。「訪問時に病院での受診を勧めましたが、拒否されたため、いったん私たちの診療テントに搬送しました。検査の結果、やはり入院が妥当だったため、ご家族に説明し、患者さん本人も納得されたので病院に救急搬送しました」と町田医師。家族からは「日本から来て、さらに自宅まで足を運んでいただいて本当に感謝しています。今後も困っている方のために、ご助力をお願いします」と期待を寄せられた。
診療テントでの診療の傍ら、避難所への訪問診療も積極的に行った。活動拠点近くにあるサッカー場には約300人が避難所テントに避難しており、声かけや血圧測定など健康チェックを実施した。
ある日、「胃瘻を造設している寝たきりの人がいるので、病院に入院させたい」と避難住民から相談が寄せられ、バーチェ・リハビリ病院の院長に状況を説明し、調整する場面も見られた。こうした訪問診療について佐藤・看護師長は「地震で車が壊れ、遠方の病院に行けない方もいます。訪問する意味は十分にあります」と強調する。
診療テントでの対応は22日で終了。その後、TMATは一部機能が復旧したバーチェ・リハビリ病院1階の一角にある診療室に活動拠点を移した。UMKE撤収後、同院スタッフが本格的に診療に参加できるようになるまでの間、一時的にTMATも内科・外科問わず診療、対応患者数が増加した。
23日以降は引き続き外科領域を中心に対応しているが、時間の経過とともに、外科を必要とする患者さんが減少してきた。その一方で、呼吸器疾患や発熱など内科的疾患のほうが増え、同院や地元の医療機関で対応が可能になるなど、医療機能が復旧し始めたことから、TMATは現地での活動を27日をもって終了することを決定した。
→徳洲新聞1378号掲載