救急・外科処置・訪問診療と多岐にわたり活動
NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、2月6日にトルコ南東部で発生した巨大地震により甚大な被害を受けた町、バーチェを中心に災害医療活動に尽力している。発災直後の翌7日からリレー形式で先遣隊、本隊の第1陣、第2陣を派遣、これまで合計22人の隊員が入国(23日時点)。とくに被害が大きかったバーチェ・リハビリ病院敷地内に建てられた仮設診療所テントを活動拠点に、現地の救急医療チームや地元の医療機関と連携しながら約600人を診療した(23日時点)。隣国のシリアを含め死者数が5万人を超えるなど、いまだ震災の全容が見えないなか、隊員たちは懸命に医療支援にあたっている。活動拠点を中心にリポートする。
トルコ南東部地震は2月6日午前4時頃(現地時間、以下同)に発生、TMATは翌7日に先遣隊の派遣を決定した。メンバーは坂元孝光・福岡徳洲会病院総合診療科部長、西村浩一・松原徳洲会病院(大阪府)看護主任、上田由美子・静岡徳洲会病院健康管理センター係長の3人。8日昼過ぎから現地で調査活動などを行い、医療ニーズがあることや、WHO(世界保健機関)のEMTCC(緊急医療チーム調整本部)から被災地での医療活動の許可が得られたことなどを受け、TMATは10日に医療支援チーム本隊の派遣を決めた。本隊は第1陣、その後、第2陣の合計19人が現地入り(表)。
第1陣が現地に到着したのは12日昼過ぎ。機能不全に陥ったバーチェ・リハビリ病院敷地内の仮設診療所テントで診療を本格的に開始すると、ふたりだけで24時間診療していたトルコ国立医療レスキューチーム(UMKE)の医師が「昼夜問わず200人を超える患者さんの対応をしている」と説明、TMAT隊員に謝意を示すとともに喜びをあらわにした。TMATは3つの診療テントのうち、ふたつのテントに分かれ救急と創傷治療など外科処置を担当。当初はUMKEスタッフと一緒に活動していたが、次第に信頼関係が醸成、ふたつとも任されるようになった。
外科では地震によるけがや、避難先のテントが狭く熱い飲み物をこぼしてやけどをした患者さんらに対応。1日に40人近くの患者さんを診療する日もあった。なかには、地震で骨折してから1週間以上が経過し、「痛みで歩けず、やっと今になって来ることができました」と涙を浮かべる患者さんもいた。
また、毎日通院が必要な患者さんにも対応。地震で右腕を切断、左腕にも大きなけがを負った4歳女児は、ガーゼを交換するために訪れるものの、テントの中に入るのを拒み、大声で泣きじゃくることがあった。連日対応した坂口薬剤師は「消毒の痛みに耐える彼女の姿を見ると、地震の悲惨さを思い知ります。それでも拘縮していた左手の指が動くようになり、少しほっとしました」と胸の内を吐露。
毎日通う患者さんのなかには、顔見知りになった隊員に笑顔で話しかけるなど、心の交流が芽生える様子もうかがえた。
→徳洲新聞1378号掲載