特定行為オーダリングシステム試験導入
徳洲会グループは「医師の働き方改革」でのタスクシフト/シェア推進の一環として、「特定行為オーダリングシステム」を開発した。これは特定看護師が特定行為を実施するにあたり、医師による指示出しや特定看護師による指示受け、実施した特定行為の記録と指示をした医師による評価などを電子カルテ上で行うシステム。2月から札幌徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、八尾徳洲会総合病院(大阪府)、南部徳洲会病院(沖縄県)で試験運用し、4月から全国の徳洲会病院で本格運用する計画だ。
2024年4月から始まる「医師の働き方改革」に対し、徳洲会グループは21年7月に「医師の働き方改革WT(ワーキングチーム)」を設置。医師の時間外労働に関する実態調査を行い、その結果をもとに「医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン」に沿った作業計画を病院ごとに実行している。
さらに、グループとしての取り組みを強化するため、22年10月に湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の亀井徹正総長をリーダーとする「医師の労働時間規制分科会」、落合亮一・医療法人徳洲会顧問をリーダーとする「タスクシフト/シェア分科会」を設置、プロジェクトが新たな体制の下、動き出した。
このうちタスクシフト/シェアでは、13業種72業務が法改正を経て拡大されたため(表)、各病院では院内事情に対応した各職種の業務拡大に取り組んでいる。これらの業務は、基本的に医師の具体的指示が必要だが、特定看護師による特定行為は例外的に包括的指示が可能だ。
特定行為の包括的指示に関しては、指示出しや指示受け、評価などを電子カルテ上に記録することが必要。このための「特定行為オーダリングシステム」を、タスクシフト/シェア分科会と徳洲会インフォメーションシステム(TIS)が中心になり開発した。まずは最も資格取得者の多い特定行為から上位3行為(侵襲的陽圧換気の設定の変更、直接動脈穿刺法による採血、脱水症状に対する輸液による補正)を抽出のうえ、特定看護師の多い上位4病院で2月から試験運用を行う。
同システムに関する説明会を1月23日にオンラインで実施。会の冒頭、落合顧問は「特定看護師による特定行為は医師の包括的指示に従って行うものですが、これまで電子カルテ上で指示が出せず、記録もできないことが問題でした。試験運用後に全国展開すると同時に、同様のシステムを、職種を拡大して運用していきたいと思います」と展望。さらに「ゆくゆくはグループ全体のタスクシフト/シェアの取り組みを集約し、データを分析していきたいと考えています」と意図を示した。
次に、開発メーカーが操作方法を紹介。実際の電子カルテ画面を見ながら、「担当医師による包括的指示と手順書の提示」、「特定看護師による指示内容の確認と特定行為の実施」、「特定行為の記録・評価」など一連の流れに沿って説明(図1)。続いて「各特定行為の手順書」の内容を例示。最後に質疑応答を行い閉会した。
導入後、2月下旬に落合顧問が4病院を訪れ状況を確認、3月中に試験運用の結果を集約し、同システムを改善していく。
→徳洲新聞1377号掲載