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直言

~鈴木隆夫(一般社団法人徳洲会理事長)~


徳洲新聞2017年(平成29年)3/27 月曜日 NO.1075 バックナンバーページへ

日本が長寿化を迎えているなかで
あなたは自分に再投資できますか
人生が長い「時間」を得たことに気付きを

今も思い出す風景があります。医学部4年生の頃、バックパックを背負い台湾から香港、ベトナムなどを経てインドのボンベイからカルカッタ、ネパール、ビルマ(現・ミャンマー)などを巡る2カ月間の放浪の旅に出ました。アジャンタやエローラの石窟群と荘厳な寺院、タージ・マハルの美しさ、夕暮れのガンジス川で沐浴する人々の姿、病に冒され膿汁に蠅がたかる手を「バクシーシ」と喜捨を求めて突き出す路上の乞食。広大なデカン高原の砂漠の岩山に刻まれた数々の風化した彫刻は、濛々たる砂塵のなかに霞んでいきます。高原に残された王国の廃墟で、何千年も湧き出ていたオアシスが突然枯渇し、国が歴史から消え去ったと聞きました。

当時23歳の私の心に深く残っているのは「今ある現実は必ずしも明日の現実ではない」という思いでした。今の幸せ、今の常識は、これからもずっと常識であり続けるのか、その疑問は、それ以来、つねに心のどこかに渦巻いているような気がします。

65歳を過ぎてなお働くことを求められる人材でいられるか

織田信長は「人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり」と舞いました。それから430年余り、際立つことは、人生がこれまでになく長くなっていることです。すでに、先進国で生まれた子どもは50%超の確率で105歳以上生きます(Human Mortality Database)。今から100年以上前に生まれた子どもが105歳以上生きる確率は1%未満でした。

今まで私たちが信じてきた人生は誕生、教育、仕事、引退というモデルでした。人生の第1ステージは30歳前半までの教育、第2ステージは、それを糧に65歳の定年まで就労、引退後平均20年間を第3ステージとして悠々自適の引退生活を送るというものでした。しかし、今やこれは幻想です。引退後40年も生き続けなければならないという長寿化のなかで、あなたは65歳を過ぎてなお、働くことを求められる人材でいられますか。

時間外労働が減り、公休日は年3分の1に近づく日が来ます。今回、徳洲会は公休日を年間105日から110日にしました。高齢化とあいまって、人生が新しい時代に入ったことに気付いてもらいたいです。公休日は決して余暇や休息のためだけに使うものでなく、社会奉仕や自己に再投資し、自らが必要とされる期間を引き延ばすためのものです。レクリエーションのためでなく自己をリ・クリエイト(再生)するための時間です。65歳で第2ステージが区切られるのではなく、85歳までの第3ステージを働き続けるために、自分に再投資する時間と捉え、これを実践した人のみが人生の第4ステージを謳歌できるのです。

組織は社会・人口構造などの変化で永遠に続くと限らない

私が米国から戻った当時は33歳でピカピカの外科医でしたが、その技術も知識も20年はもちませんでした。茅ヶ崎徳洲会総合病院(現・湘南藤沢徳洲会病院)の院長になったものの赤字続き、部下から「院長の仕事は経営である」と指摘され、経営と管理との違いを思い知らされ、経営の勉強会に参加する一方、ドラッカーなどの経営学の書物を読み漁りました。この時は気付きませんでしたが、私は自分に再投資していたのです。

徳洲会グループの医療大学開設プロジェクトも、まさに自己再生を支援する意味合いをもっています。医師だけでなく事務長を経営者に、看護師を院長に、技術者をAI(人工知能)や遠隔操作を発展させる高度技術者に育てるなど、時代が要請する資質や価値を身に付けることができる大学、人生の第3ステージでも求められる人材をつくる新しいシステムを取り入れた大学にしたいと考えています。

先日、徳洲会の院長だった82歳の先生に会いました。今は療養型病院の院長で、外来もこなしています。「先生の専門は何ですか」と尋ねると「専門内科(専門の無い科)」だと。心臓外科が専門の彼は、自己を再教育し、老人内科という新たな価値を身に付け、働き続けています。これは徳洲会にもあてはまります。徳洲会が創立して44年の実績があっても、社会構造や人口構造、疾病構造の変化、治療方法の進化などにより、従前の組織がいつまでも続くとは思わないことです。比較的に経営にゆとりができた今こそ、自己投資をし、再生への糸口を見つけなければいけません。

あなたは今ある時間をどう使いますか。皆で頑張りましょう。

 

一般社団法人徳洲会

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