• English
  • ホーム
  • サイトマップ
ご意見・お問い合わせ

HOME > メディア情報 > 直言

直言

篠崎 伸明 医療法人徳洲会専務理事 湘南厚木病院院長


徳洲新聞2012年(平成24年)5/28 月曜日 NO.827 バックナンバーページへ

徳洲会独自の「屋根瓦方式」は研修医を一人前に育てるシステム〜研修医は離島・僻地研修で、医師としての社会貢献の義務を実感〜

今年、徳洲会グループの病院に110人の初期研修医が入職しました。現在、2年生と後期研修医3?5年生を合わせ約400人の研修医が全国の徳洲会病院で勤務しています。徳田虎雄理事長がアメリカの医療教育制度を日本にも導入したいと考え、31年前から研修医にスーパーローテーションを実施。20年前には離島・僻地(へきち)研修を開始しました。8年前、厚生労働省がすべての新卒医師に対し2年間のスーパーローテーションの義務を課し、私たちはさらに初期・後期研修の5年間の一貫教育を打ち出しました。

骨格は「断らない医療の実践」と、「ジェネラリストの育成」にあります。これらは、1973年、大阪府松原市に徳田病院(現・松原徳洲会病院)が発足したときからの根本理念で、患者さんと地域のために貢献する姿勢はいまも受け継がれています。その実践を可能にしているのが、「屋根瓦方式」で知られる研修システムです。1年次研修を終えた2年生が新1年生に自分たちが学んだことを教え、2年生は上級医から学ぶという方式です。人に教えるには勉強が必要で、忍耐も欠かせません。多くの上級医が、自分でやったほうが早いと感じても、自分たちが教わったように「見せて、やらせて、教える」ことで、後輩たちは学んでいくのです。最初の2年間は医師としてのジェネラリスト、次の3年間は診療科におけるジェネラリストとして育ち、その後、がんや外傷、呼吸器、心臓、消化器、内分泌などの専門分野に進みます。
「研修医は夜中に育つ」といわれるように、当直時には未体験のことや予想外のことに遭遇します。指導を受ける一方でそうした体験を積み重ねることが自信を生み出し、医師として育っていくことになります。病院内だけでなく、社会はすべてが教師です。聞く耳をもち、教わる姿勢をもち、社会とかかわる姿勢をもつことが大切です。医師だけでなく、看護師、コメディカル、事務職などの先達から学ぶことは多々あります。真摯に学ぶ態度がチーム医療につながり、よい指導者への第一歩となることでしょう。

「余力ではなく、自分の身にこたえるほどの応援」を実践

2004年から後期研修医の3年生にも3カ月の離島・僻地に対する応援研修を実施しています。この研修期間を通じ医師としての社会貢献の義務を実感してもらいます。応援先の病院では公開医療講座も担当し、一般の方に健康維持や病気予防についてわかりやすく説明するなど、仕事は多忙でも充実した時間を送ることができます。研修医は都市部と離島・僻地のどちらの医療が優れているかではなく、離島・僻地ほど質の高い医療が必要であることを知ります。とくに3年時の応援研修は、徳田理事長のいう「余力ではなく、自分の身にこたえるほどの応援」の実践となります。

初期研修の2年間は、医師人生のなかでも最もハードな時期です。この2年間の研修を乗り切った自信で、その後のさまざまな危機も難なく乗り切れるでしょう。後期研修に移ると学会認定医や学会専門医、指導医を目指します。専門医の資格を取得するためには筆記試験だけでなく、学会や論文で発表することも求められます。さらに多くの経験を積むと同時に、後輩を指導しながら勉強する姿勢は生涯続きます。

近年、女性医師が増加傾向にあり、女性医師に診てもらいたい患者さんも多くいます。医学生に占める女子の割合は4割に達する勢いです。こうしたことから結婚・出産後も研修が継続でき、さらに指導医として活躍できる柔軟なプログラムや保育設備など環境整備がよりいっそう必要となっています。

徳洲会では、経済的理由で医学部進学を断念せざるを得ない優秀な高校生や、医学部入学後に生活のためのアルバイトで満足に授業に出席できない学生に対し、経済的負担を軽減できる奨学金制度を設けています。徳田理事長は、苦学し苦労している医学生の負担を少なくし、多くの学生に道を開くために、この制度をつくりました。人の痛みや苦しみがわかる医師には、苦学、苦労した人たちが多いように思います。

優れたチーム医療で患者さん満足度を全員で高めていこう

医療サービスを含め、多くのモノの「価値」が、「質」と「コスト」で決められるようになりました。そして、「質」は「プロセス」と「アウトカム」とに可視化される時代になっています。プロセスは治療の経過、アウトカムは治療の結果です。医師が医療の本質の部分でアートの世界に入り込み、自己満足できた時代を懐かしく思います。いまでは、ベストプラクティスに学ぶため、アウトカムが比較され、プロセスも分析されて、アートの部分のベールが容易にはがされてしまうのです。

アウトカム目標のみの達成で、患者さんの満足度が上がる時代はそろそろ終わります。患者さんにとって結果がよいのは当たり前の時代になったからです。

一方、医師がアウトカム目標を明示し、プロセスを可視化することで、多職種は同じゴールに向かってチーム医療をスタートできます。患者さんも能動的に治療に参加できるようになります。このためエビデンス重視の医療が基本スタンスになりました。いまの医学生は普通にEBM(根拠に基づいた医療)を学んでいます。

さらに、チーム医療におけるプロセスのなかで、いろいろなアートが生まれます。思いやりや笑顔、心温まる接遇、そして"伝説のサービス"といわれるくらいの期待を超えたサービス。これらが患者さんの満足度を無限に上げ、時に感動さえ呼び起こします。私たちは、患者さんの感動を見て喜びを強く覚えます。医療が「感動ビジネス」といわれるゆえんは、ここにあります。

クリニカルパス(診療計画書)や臨床指標、バリアンス(逸脱)例分析、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルによるアウトカムの改善など、ややもするとこれからの医療はドライなものと錯覚してしまいそうになりますが、患者さんの満足度を上げる余地は無限にあります。

チーム医療による優れた治療結果とともに、経過のなかで患者さんの満足度をさらに高めていくために、皆で頑張りましょう。

 

一般社団法人徳洲会

102-0083 東京都千代田区麹町4-6-8 ダイニチ麹町ビル2階
TEL:03-3262-3133 FAX:03-5213-3602

Copyright (C) 2011Tokushukai  All Rights Reserved.