国内外の被災地で医療支援活動を展開するNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、新しい研修コースである「病院防災コース」を創設した。同コースは災害発生時の病院の対応を総合的に学べる研修会。11月1日に成田富里徳洲会病院(千葉県)で第1回を開催、感染対策を徹底し22人が受講した。
予選は10月に行い、看護部、診療支援6部署、事務系8部署が参加。各カテゴリーから2演題ずつ選出し本選を行った。コロナ禍に配慮し、本選当日は院内に会場を3カ所設置。発表を行うメイン会場以外はオンラインで中継し、病院四役と一般職員が審査員となり各会場で採点した。
投票の結果、1位は6階西病棟(障がい者病棟)の演題「オムツ交換業務の効率化~オムツ交換の見直しから看護ケアの充実を目指して~」で、峯岸弘子看護師が発表。
1日の業務で最も時間を要する朝9時のオムツ交換について、皮膚・排泄(はいせつ)ケア認定看護師による勉強会などを行い、オムツや尿取りパッドの当て方などを工夫した結果、オムツ交換に要する平均時間が35分短縮、寝衣・シーツ交換の1日平均回数も約3割削減したことを報告。ひげそりや爪切りなど看護ケアの充実、コスト削減につながったことをアピールした。
2位は放射線科で「一般撮影における再撮影率の改善にむけて」がテーマ。発表者の髙橋琢巳・診療放射線技師長は、患者さんを医療被曝から守るために、検査で行う一般撮影の再撮影率を検証。データやスタッフとの意見交換から、とくに再撮影が多い胸部、頸椎(けいつい)、腰椎(ようつい)、膝の4つの部位に着目し、撮影のポイントを再教育するとともに再撮影の基準をより明確化した。その結果、1カ月当たりの再撮影率が従前に比べ約5%改善したことを報告。
3位は薬剤部でテーマは「持参薬の運用方法 持参薬の使用を減らすための工夫と取り組み」。大倉幸子薬局長は国の方針の下、入院患者さんの持参薬の使用を減らすことを目的に、薬剤部で持参薬鑑別の電子カルテ入力方法を検証。より簡便に変更し、変更前後の各4カ月間を比較したところ、持参薬使用率が平均47・42%から27・88%に減少したことを紹介した。
このほか、総務課が「環境整備における業務改善効率化について」、健診センターが「人間ドック数増加に向けての取り組み」、訪問看護ステーションが「訪問看護ステーションの一時休止が必要な際の連携について~地域で訪問看護の応援体制を構築し在宅生活を支える~」をテーマに発表した。
表彰式で清水正法院長は、参加した全部署をねぎらうとともに「日々発展することを期待します」とエールを送った。山下尚子事務長も「病院全体で取り組み、建て替えから3年目で開催できたことをうれしく思います。全スタッフに感謝したい」と目を細めた。上位2演題はグループ全体のQI(品質改善)大会(21年3月頃予定)にエントリーする。
表彰前には「医療従事者が知っておくべき個人情報の保護」をテーマに研修も実施。濵・宇佐見法律事務所の保坂慶太弁護士が、多様な業界でのトラブル事例を交えながら、病院が押さえておくべき個人情報保護の基本的なポイントを解説した。とくに医療・介護関係事業者向けの各種ガイドラインの有用性や、第三者への情報開示・情報提供に注意することを強調した。
→徳洲新聞1266号掲載