近江草津徳洲会病院(滋賀県)は地域包括ケア病棟(49床)での生活リハビリテーションを強化している。理学療法士(PT)など専門職によるリハビリに加え、同院は病棟内で実施できる生活リハビリのプログラムを作成し、看護スタッフが実践。PTが考案したオリジナルの〝いきいき体操〟を取り入れるなど、多職種が一丸となって患者さんのADL(日常生活動作)改善を図り、在宅復帰の促進に努めている。
多職種一丸で在宅復帰促進
患者さんが自主的に歩行訓練することもあるため、病棟の廊下やスタッフステーションの周囲には、歩行距離が目視でわかるよう10mごとに目印を付けた。達成感を実感しやすく、リハビリに対する意欲の向上につながっている。
また、アウトカムを評価するため、入棟時と退院時にバーセルインデックス(BI)による評価を実施。BIはADLの評価指標のひとつ。日常生活を送るうえで必要な基本的能力を把握するため、食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの10項目(すべて自立の場合は100点)の動作に関し、それぞれ自立度や要介助度を判定基準として点数化し評価を行う。退院先や家族とその情報を共有し連携を強化、療養生活の継続に役立ててもらっている。
同院は急性期を脱し地域包括ケア病棟に入棟した65歳以上の患者さんを対象に、2019年8月に病棟リハビリプログラムを開始。開始後約2カ月間のデータを集計したところ、半数強の患者さんが、BIの合計点が5点以上改善。約4割は15点以上改善した。トイレ動作や入浴動作、歩行、車いすとベッド間の移動、食事などで改善の度合いが大きかった。
大河・看護部長は「数値で表れるBIの改善以外にも、体操や歩行練習に積極的に参加する患者さんが増えたり、患者さんの離床時間が増えたりしました。また、病棟リハビリプログラムの運用により、離床を促すスタッフの意識が高まるなど効果もでています」と手応えを示す。
患者さんのADL改善や在宅復帰をサポートするため、今後も多職種が一丸となって尽力していく考えだ。
→徳洲新聞1259号掲載