「断れば亡くなる可能性ある患者さん断るなどできない」
新型コロナウイルス感染者数が昨年11月以降、第3波の襲来により急増、1月上旬には1日当たりの新規感染者数が約8000人に上った。その後、再発令された緊急事態宣言により、感染者数はピークを越えたように見えるが、死者数や重症者数は増加、予断を許さない状況が続いている。こうしたなか民間医療グループである徳洲会では、多くの病院がコロナ患者さんの受け入れに尽力、最善の医療提供に努めている。今号では徳洲会病院のコロナ対応の一端を紹介する。
10カ所たらい回しの患者さんを受け入れ───────羽生病院
「1月1日にコロナ専用プレハブ病棟(最大80床)の運用を開始し、すぐに38床が埋まりました。80床のうち50床を稼働病床としていますが、マンパワーの制約から受け入れは現状40人が限界です。重症が多く、ECMO(体外式膜型人工肺)2台と人工呼吸器7台を同時に使用した時は、まるで戦場のように厳しい状況でした。少なくとも、つねに人工呼吸器5台が稼働する事態が続いています」
こう話すのは埼玉県のコロナ対応重点医療機関である羽生総合病院の松本裕史院長。取材した1月28日の前夜には、搬送先が決まらず10カ所の医療機関に断られた遠方のコロナ患者さんの入院を引き受けた。
「当院も厳しい状況にありますが、断れば亡くなる可能性がある患者さんを断ることなどできません」と胸の内を語る。呼吸状態が悪く酸素を毎分10ℓ投与したが、十分に改善せず人工呼吸器を装着、これが奏効し危険な状態を脱した。同院はまさに〝最後の砦(とりで)〟として尽力している。
周辺自治体の医療機関でクラスター(感染者集団)が発生した影響などにより、羽生病院に救急搬送が集中。それまでは月間300件の救急搬送だったが、12月以降、400件まで急増した。
松本院長は課題として「後方病床の確保」を指摘。「陰性になった患者さんのリハビリなどを引き受ける後方病院が確保できないと、目詰まりを起こし新規受け入れが難しくなってしまいます」と危機感をあらわにする。
→徳洲新聞1273号掲載