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がん治療(オンコロジー)

徳洲会がん対策-第1次5カ年計画から次の段階へ

篠崎伸明 徳洲会専務理事/湘南厚木病院院長

日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなる時代。2004年、徳洲会グループは徳田虎雄前理事長の「がん治療に全体で取り組め」という指示の下、本格的な「対がん戦略」を打ち出し、徳洲会対がん5カ年計画を策定した。この「対がん戦略」の中核をなすのが「オンコロジープロジェクト」。

湘南鎌倉総合病院オンコロジーセンター

湘南鎌倉総合病院オンコロジーセンター

 04年に始まった徳洲会グループの対がん5カ年計画では、①標準化学療法を提供する②進行中のゲノム解析の実績に基づいた個別化治療を行う③24時間体制の通院がん治療センターをつくる④がん終末期治療センターをつくる⑤抗がん剤の治験および臨床研究の推進、の5つを目標として設定しています。
 徳洲会のオンコロジープロジェクトは、徳田虎雄前理事長の直轄の下に、対がん戦略の主要な柱として開始され、全てのがん種にわたってそれぞれの病態に応じたプロトコールを設けて、治療に用いられるようになってきました。
 これまで毎年約6500人の新規がん登録があります。この5年間に、約3万人の患者さんが治療を受けられました。毎月約800人のがん患者さんが、約1500回の抗がん剤治療を受けていることになります。
 また、さまざまながん種に対応する抗がん剤療法を標準化し、これまでに約13種類のレジメンを整えました。今年はそれまでの5年間の集大成として、得られたデータを分析して治療成績を精査し、さらに改善していく年と位置づけています。

徳洲会グループでがん登録を開始

オンコロジーIT会議

オンコロジーIT会議

 実は、この5カ年計画の推進には、03年に文部科学省のリーディングプロジェクトとしてスタートした「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」から得られた大きな経験が前提にあります。東京大学医科学研究所の中村祐輔教授をリーダーに、患者さん一人ひとりの遺伝子を解析し、その個性に合わせた治療を目指すこのプロジェクトの第1期は無事終了し、一昨年から第2期に入りました。同プロジェクトには、徳洲会の44施設が参加。10万人以上の患者さんから貴重な血液を提供していただきましたが、この過程で情報共有やメディカルコーディネーターの大量育成、作業の標準化などが急速に進み、対がん5カ年計画の牽引役となっています。
 対がん戦略の最も重要なインフラともいうべきがん登録は、05年6月に開始されました。全国にネットワークのある徳洲会が共通のフォーマットを導入する意義はたいへん大きなものでしたし、地域がん登録にも大いに貢献しています。
 参加できる病院から順次拡大して、グループ病院全体にまで広げていくもので、現状では毎年約6500人の新規がん登録があります。
 また、オーダリングと電子カルテの普及により、全病院共通言語でのIT化も進捗しつつあり、09年10月にデータの分析を行う管理ツールや統一情報システムの構築をグループ内で行い、患者さんへのサービスおよび医療の質の向上へつなげる目的で設立された徳洲会インフォメーションシステム株式会社(TIS)も、今後オンコロジープロジェクトの中で大きな役割を果たすことが期待されます。
 徳洲会のがん登録の最も大きな特徴は、がんの疑いのある患者さん、フォローの必要性のある患者さんなどをリストアップし、フォローアップの漏れがないようにするプログラムをつくり、オーダリング、電子カルテ上で利用できるようにしたことです。患者さんが予約日に来院できず、来づらくなってしまったようなときにも、こちらから声をかけることが可能になり、仮に主治医が見落としたとしても、それを思い出させる仕組みもできました。これによって、患者さんのフォローが確実に行え、がんの早期発見の機会を失わないようにもなります。
 こうしたがん登録の成熟と登録実績を積み上げてきたことで、今年は生存率を出していこうと思っています。今秋には1年、3年の生存率をまず出し、グループ全体の成績を向上する仕組みづくりのきっかけにしたいと考えています。
 今後、診療情報管理部会での検討や、生物統計の専門家の指導などを受けながら、さらにシステム全体の精度を高める方策を打ち出したいと思います。

オンコロジー講習会とプロトコール委員会

第5回オンコロジー講習会

第5回オンコロジー講習会

 08年4月、徳洲会のオンコロジープロジェクト責任者として新津洋司郎・札幌医科大学教授を迎えました。そして同月、東京で徳洲会グループの22病院から、オンコロジープロジェクトをサポートする医師、看護師、薬剤師、病歴管理士ら98名が参加して、標準治療検討のためのキックオフ・ミーティングが開催されました。この会合が「徳洲会オンコロジー講習会」として継承され、10年3月には第10回と回を重ねています。
 オンコロジーがチーム医療であり、標準化の必要性が高い取り組みであるためこのような構成になっています。講習会では、それぞれの専門家を招いて、最先端の臨床研究に基づいたエビデンスのある化学療法や、具体的なプロトコールなどが情報提供されます。さらに、グループ病院からそれぞれ専門的に臨床に当たる医師を集めてプロトコール委員会を設けました。新津教授を中心に、胃がん、大腸がん、乳がん、食道がん、肺がん、胆嚢がん、膵臓がんなどに対し、標準化学療法を検討して、徳洲会グループの統一プロトコールを集約しました。そして、それぞれのがん種ごとに約25名の中心メンバーで細部を点検し、より確かなものにする改訂作業が終了しました。化学療法の発展は目覚ましく、その後もしばしば改訂は行われています。
 こうしてオンコロジープロジェクトで設定されたプロトコールをグループの全病院に水平展開し、どの病院でも同じ水準のがん治療ができるようになりました。さらにIT化と共通言語の普及により、がん種ごとの徳洲会グループの治療成績が明らかになります。薬の副作用や治療過程のバリアンスの分析などをやっていくことも必要になります。加えてこのプロジェクトは、ベンチマークによって徳洲会グループ全体の治療成績を上げていく役割を担います。
 各施設ではキャンサーボードと化学療法委員会を設置し、がん患者さんを病院全体でケアする体制づくりが必要になります。各病院のレジュメ実施状況や各病院のオンコロジーの医師一覧を参考に示しました。

臨床研修と治験の実施

プロトコール委員会メンバー(順不同)

名前所属
篠崎 伸明湘南厚木病院
岡田 信一郎千葉徳洲会病院
松本 裕史羽生総合病院
原田 博雅八尾徳洲会総合病院
下山 ライ湘南鎌倉総合病院
大江 元樹茅ヶ崎徳洲会病院
本田 亮一札幌東徳洲会病院
竹田 隆之宇治徳洲会病院
佐藤 一彦東京西徳洲会病院
木下 一夫宇治徳洲会病院
村上 修八尾徳洲会総合病院
坂本 一喜岸和田徳洲会病院
川元 俊二福岡徳洲会病院
高木 睦郎茅ヶ崎徳洲会病院
太田 智之札幌東徳洲会病院
坂本 宣弘名古屋徳洲会総合病院
浅原 新吾千葉徳洲会病院
小林 ゆかり東京西徳洲会病院
森田 剛史松原徳洲会病院
飯田 信也鹿児島徳洲会病院
荒深 景一鹿児島徳洲会病院
吉田 剛祥松原徳洲会病院
窪田 孝明福岡徳洲会病院
高田 秀一宇治徳洲会病院
今村 正敏茅ヶ崎徳洲会病院
野口 有生大和徳洲会病院
井上 裕美湘南鎌倉総合病院
向山 秀樹南部徳洲会病院
吉田 利夫茅ヶ崎徳洲会病院
三浦 一郎湘南鎌倉総合病院
小川 由英東京西徳洲会病院
安富祖 久明中部徳洲会病院
田中 江里湘南鎌倉総合病院
高島 康秀静岡徳洲会病院
小野 幸夫羽生総合病院
藤原 琴岸和田徳洲会病院
岩井 大東京西徳洲会病院
門谷 靖裕湘南鎌倉総合病院
守屋 貴博湘南鎌倉総合病院

 がん登録が整備され、標準化学療法を推進しながら、副作用登録もコード化できる体制になりました。今後、オーダーメイド医療の発展とともに、個々の患者さんに応じた化学療法の効果予測や副作用予測が可能になることを期待したいと思います。
 06年には、日本の治験・臨床研究の空洞化を打開し、オーダーメイド医療を実現するために(株)未来医療研究センターを設立。日本有数の大規模治験ネットワークを構築し、治験に積極的に取り組み、これまで多くの実績を積み上げ高い評価を得ています。今年3月末時点では、41病院で71種類の治験が進行中であり、1259人の患者さんに参加していただいています。
 今後はがん難民の受け皿としても、抗がん剤などの治験・臨床研究の充実を目指した高度な体制づくりが不可欠です。
 こうした実績を踏まえ、徳洲会対がん5カ年計画とその中心的役割を果たすオンコロジープロジェクトは、次世代に向けて新たな段階へと進化していかなければなりません。

一般社団法人徳洲会

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TEL:03-3262-3133 FAX:03-5213-3602

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